15時発 夢の地下鉄汐里線

ハロヲタのための24のガヴォット第15番ニ短調

窒素の酸化数

erika00152008-11-15


窒素ほど多様なかたちで存在している元素はないんじゃないだろうか
気圏では単体の窒素として 
生物の体内では核酸アミノ酸・タンパク質などの有機窒素化合物として
土壌では硝酸塩やアンモニウム塩などの無機窒素化合物として
そして水圏では硝酸イオンなどのイオンとして
しかもそれらがさまざまな生物や自然のいとなみによって形を変える


窒素の循環 
 という見出しで昔から中学校の教科書などに載っていたけれど
これを正確に理解するにはよほど化学や生物学の知識がないと難しい


窒素の酸化数に関しては硫黄と似たところがあって

好気性の条件下では +5

嫌気性の条件下では -3

がそれぞれ安定になる(硫黄より価電子が1つ少ない)が
もちろん単体(酸化数0)がいちばん安定かもしれない



酸化数-3
アンモニア および アンモニウムイオン
嫌気性の条件でタンパク質などが分解・腐敗すると
たいていアンモニアが発生する
たぶん誰でも知ってるはずの強烈な刺激臭を持った沸点-33℃の気体で
分子構造が水とよく似ているため水によく溶け
水溶液中でわずかに電離してアルカリ性を示す(1価の弱塩基 としてはたらく)
逆にアンモニウムイオンは酸としてはたらき、水溶液中で加水分解して酸性を示す
(ゆえに 塩化アンモニウム 硫酸アンモニウム 硝酸アンモニウムなどの水溶液は酸性)
土壌中のアンモニウムイオンは亜硝酸細菌の作用によって
酸化数+3の亜硝酸イオンに酸化される
アンモニアは案外毒性が強く シアン化水素に匹敵する
ただ臭いが強烈なせいか中毒死することは少ないかもしれないが
密閉された空間で大量に発生させれば大規模なテロも可能な気がする


酸化数0
窒素
単体の窒素には同素体がなく たんに 窒素 と呼ばれる
窒素原子2個が三重結合で結びついた2原子分子できわめて安定
常温では気体で空気中に約80%くらい含まれている
液体にしたものは液体窒素と呼ばれよく研究用の冷却材として使用される
ふつうの条件では化学反応をしないが
高温では空気中の酸素と反応し窒素酸化物を生ずる
また 根粒菌 アゾトバクター クロストリジジウム ネンジュモ などの
窒素固定生物によって無機窒素化合物となる


酸化数が+になるのはほとんどの場合酸素と化合しているときです
(窒素より電気陰性度が大きいのはフッ素と酸素のみ)

酸化数+1
一酸化二窒素  いわゆる笑気ガス

酸化数+2
一酸化窒素  無色の気体で水に溶けない 
       有毒だが 体内では動脈硬化を防ぐとも?

酸化数+3
亜硝酸 および 亜硝酸イオン
土壌中では亜硝酸細菌の作用で生成しており
さらに硝酸菌の作用で酸化数+5の硝酸イオンに酸化される
亜硝酸イオンは毒性があり必然的に亜硝酸塩も有毒
食品添加物(発色剤)として大量に使用されているけど安全ではない

酸化数+4
二酸化窒素 および 四酸化二窒素
ともに気体で 二酸化窒素は赤褐色 四酸化二窒素は無色

酸化数+5
硝酸 および 硝酸イオン
土壌中で硝酸細菌の作用で生成
硝酸は強酸で水溶液中でほぼ完全に電離する
そのため強酸性条件でない限り硝酸イオンとして存在し
硝酸イオンは 酸にも塩基にも還元剤にもならない(酸化剤にはなる)
硝酸は強酸であると同時に強い酸化剤で自身は還元される
硝酸が関係する酸化還元反応では
硝酸の一部分は酸化剤として作用し残りの部分は酸として作用するので
化学反応式が複雑になることが多いようです

濃硝酸のときは酸化数+4の二酸化窒素に還元され
希硝酸のときは参加数+2の一酸化窒素に還元される
ということも覚えていないといけません
もともと窒素の酸化物は生成熱が負(つまり酸化数0の単体が安定)なのに
こういう中途半端なところまでしか還元されないのは
これらの生成物が気体であるために系外へ出てしまうためです
エタノールの酸化がアセトアルデヒドで止まるのと同じ)